長谷川拓輝2026年4月3日 3:52 pm
【高音の叫び癖改善】
加藤先生による
「サウダージ」のサビの歌唱指導の解説です。
Berore
高音を出すときに口が開きすぎていて、叫ぶ歌い方になっています。
声の音量やピッチも安定していません。
⚪︎改善のためのステップ
1.メロディを「Mum」という言葉で歌い、口を大きく開きすぎないようにして、
叫ぶ状態を防ぎます。
2.「Mum」で歌った体感をキープして、実際の歌詞で歌います。
3.口を「開きすぎ」「閉じすぎ」の中間的なバランスでを意識して歌います。
After
高音が力みなくスムーズにサビのメロディを歌えるようになっています。
ポイント
歌いづらい箇所は、あえて口の動きを制御する練習を取り入れることが喉の負担を減らし、高音をスムーズに歌う近道になります。
金子 恭平2026年4月2日 9:00 am
【息漏れは呼吸の問題か?】
レッスン中に息漏れを指摘されたことはありますか?
「声が息っぽい」と言われると、みなさん息を吐きすぎないようにと意識しがちです。
しかし、息漏れはどちらかというと声門閉鎖の不足、つまりフタがきちんと閉じていないことが原因であるケースが多いのです。
声帯を閉じる作業は、「肥厚」と「内転」という運動によって行われます。
それぞれにアプローチするエクササイズをご紹介しますね。
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▼声帯を太らせる「肥厚」を鍛えるエクササイズ
快適な地声音域で、「Buh Buh Buh Buh Buh(バッバッバッバッバ)」とスタッカートで歌います。
息っぽい声でも細い声でもなく、山崎育三郎さんのようなふくよかで美しい地声を意識してください。
唇を強く閉じて、B子音をしっかり発音しましょう。
これを繰り返すと、肥厚を作る『甲状披裂筋(TA)』が鍛えられます。
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▼声帯を後ろから閉じる「内転」を鍛えるエクササイズ
快適な地声音域で、「Keh Keh Keh Keh Keh(ケッケッケッケッケ)」とスタッカートで歌います。
スポンジボブのような薄っぺらい声を意識してください。
変な声であればあるほど良いです。息っぽくならないよう注意しましょうね。
この繰り返しで、内転を作る『外側輪状披裂筋(LCA)』が鍛えられます。
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息漏れ改善が課題の方は、上記のエクササイズを普段の歌練習や発声練習に加えてみてください!
桜田ヒロキ2026年3月28日 11:34 am
【歌の練習、どれくらいやればいいの?】
音声医学やASHA(米国言語聴覚士協会)などのガイドラインでは、「明確な時間制限」よりも負荷管理が重視されていますが、
臨床的にはおおよそ以下が目安とされています👇
・連続練習:30〜50分
・休憩:5〜10分
・1日の合計:1〜3時間(レベルによる)
ポイントは「長時間やること」ではなく“連続でやりすぎないこと”
声帯は筋肉+粘膜なので、
回復しないまま使い続けるとパフォーマンスも落ちます。
そして一番重要なのはここ👇
同じ30分でも
・効率の良い発声 → OK
・無理な発声 → ダメージ大
つまり「時間」よりも「使い方」
これを間違えると、短時間でも喉は壊れます。
ちなみに研究では、声道の狭窄が強くなるほど発声は弱く・不安定になることが示されています。
→ 効率が悪い状態
つまり“効率の悪い発声ほど疲れやすい”
だからこそ時間管理+発声効率の両方が必要です。
加藤真太郎2026年3月27日 9:59 pm
【適当なボリューム感の見つけ方】
レッスンをしていると、生徒さんによっては声のボリュームが大きくなりすぎてしまったり、逆に小さくなりすぎてしまったりと、大小どちらかに偏ってしまうことがあります。
ボリュームが偏ることでどんなことが起きてくるでしょうか?
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【ボリュームが大きすぎる場合】
人間はボリュームを上げようとすると、多くの場合で息の量を増やそうとします。
本来適切な息の量であれば、声帯が持つ閉鎖筋群だけで受け止められるのですが、この場合他の不要な筋肉まで巻き込んでその息の量を何とか受け止めようとします。
これが喉に余計な緊張を生み、
・歌っていると苦しい
・音程が当たらない
・地声→裏声への急激な変化(フリップ)
などのエラーが起きてきます。
またリスナー側にも、自然な音楽的な歌声ではなく叫び声に近いものとして認識されてしまいます。
【ボリュームが小さすぎる場合】
小さすぎると感じられる場合、
・息を吐きすぎてしまっている
・声帯の息を受け止める力が弱い
・そもそも吐く息の量が少ない
このどれかが起きていると考えられます。
いずれにせよ、分厚い声帯振動をもたらす地声の活躍が弱くなることが予測できるので、そうすると本来声が持っている"強さ"や"豊かさ"が失われてしまいます。
リスナー側からすると、例え音程が合っていたとしてもこれらを失った歌声はあまり良い歌声とはいえません。
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自分の出している音量がどれくらいなのか、実は意外と自分では気づきにくいものです。
一生懸命歌うことに集中するあまり、客観的に自分の声を聴く余裕が無くなってしまうんですね。
レッスンの中で先生にフィードバックをもらいながら、
・自分のボリュームの傾向
・どのくらいの力感だと適当なボリュームになるのか
これらを把握し、何回も練習することで頭と身体で覚えていきましょう!
加藤真太郎2026年3月23日 12:55 pm
【適切なビブラートって?】
カラオケに行くことが趣味で、特に採点系のコンテンツが好きな方であれば、
"ビブラート=加点技術"
という認識があると思います。
なのでビブラートに対してそこまで深く考えず、使っている方がほとんどだと思います。
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Beforeのテイクを聴いてみると、フレーズ終わりのビブラートで明らかに違和感を感じると思います。かけている速さが遅すぎるんですね。
"音楽的に自然に聴こえる"ビブラートの振幅数は、1秒間に6回前後と言われています。
あまりにも波が大きいビブラートは不自然に聴こえてしまいますし、テンポの高速化が進む現代のJ-popでは、ある程度の速さを持ったビブラートの方が好まれるといえます。
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また、闇雲にビブラートを使いまくるというのもあまり音楽的とはいえません。
人によってはくどく感じられますし、ビブラートをかけない歌い方や、音の始めは真っ直ぐ伸ばして途中から揺らす、ディレイドビブラートの方が好きという方もいます。
しっかり揺らす音、サラッと揺らす音、真っ直ぐ歌う音など、計算してビブラートを使った方が聞き手に対して思いやりがありますし、それは音楽的だといえるでしょう。
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聴き手に心地良く聴いてもらうというのが音楽にとっては非常に大事です。
そこを考えられるかというところが、カラオケが上手な人と本質的に歌が上手いと言われる人の差なのかもしれません。
またビブラートは発声バランスが重要だと言われています。
上手くビブラートがかけられないという方は、ボイトレが役に立ってくれるかもしれません。
桜田ヒロキ2026年3月22日 12:18 am
ボイストレーナーさん。
生徒の声が緊張で硬いとき、どうしていますか?
「声の緊張が強い」
「コントロールが難しい」
「歌うと苦しそうになる」
こういうケース、現場でよくあります。
そんなときに、僕がよく使う“ほぼ確実に効く魔法の言葉”があります。
それが
「20%だけボリュームを下げてみて」です。
実際に20%でなくても大丈夫です。
ほんの少し、少しだけ下げる。
これだけで多くの場合、声の緊張が一気に抜けて、音色が改善します。
多くの生徒は音量を出すために「呼気を出しすぎている」からです。
無意識に必要以上のボリュームを出していて、その結果、声帯や周辺の緊張が高まりコントロールが難しくなっています。
少しだけボリュームを下げることで過剰な力みが取れて、声が整理されます。
面白いのはここで、実際には音量はあまり下がらず“緊張だけが下がる”ケースが多いことです。
つまり労力だけが20〜30%下がり、声はむしろ効率的になります。
結果として音色・コントロール・歌いやすさが一気に改善します。
そしてリスナーは、この「無理している声」を意外と敏感に感じ取ります。
苦しそうな声は、それだけで音色の評価を下げてしまいます。
だからこそ僕たちが思っている以上に「声の緊張を取ること」は重要です。
まずは一度「20%下げてみてください」
この一言、かなり使えます。
小野貴之2026年3月21日 8:07 pm
- なぜメトロノーム(クリック)を使うのか──「リズムをかっこよく」だけではないもう一つの理由
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レッスンで楽曲を扱うとき、メトロノームだけを鳴らしてそれに合わせて歌ってもらうことがあります。リズムトレーニングの方法は先生によってさまざまですが、僕はメトロノームのみで歌わせることをよく行います。
四分音符だけで鳴らすことはあまりなく、曲によって八分音符や十六分音符で鳴らすことが多いです。
リズムを正確に歌うには技術が必要です。例えるなら、二本の線が一本に重なるところ、つまりメトロノームの音と声が重なるところがオンタイムで、そこを狙います。
もちろんこれはリズムトレーニングですが、その結果として「発声の安定」も得られます。
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「声の立ち上がり=オンセット」には、①声門を先に閉じるGlottal Attack、②息が先に漏れるAspirate Onset、③声門の動きと息の流れが同時に起こるBalanced Onset、の三種類があります。
レッスンでは基本的に③を理想としていますが、そのためには声を発するタイミングをしっかり狙えていることも重要です。野球のスイングでバットがボールを適切なタイミングで捉えるのと同じです。
曲をオンタイムで歌えないと、オンセットのタイミングがランダムになり得ます。
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僕が20代のころに習っていた先生はリズムに厳しく、シンガーのクオリティに直結することを学びました。リフの決まり具合や、あえてタメを作る技術も、正確なリズム感があってこそ成り立ちます。
今ではその重要性が発声の観点からもよく理解できます。
実際にこれは、かなり効果を発揮します。
加藤真太郎2026年3月19日 11:42 am
【たくさん練習しても上手くならない!?】
前にレッスンに来られた生徒さんと話していたときに、
「カラオケに行ってたくさん歌っていれば勝手に上手くなると思っていたけど、全然そんなことないですね」と言われたことがあります。
僕自身も過去に同様なことを考えていたのですごく共感できたのですが、ではどうしてたくさん練習しても、歌は上達していかないのでしょうか?
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【歌唱は筋トレではなく、運動学習】
歌唱における上達は、運動学習というプロセスで進んでいくと言われています。
運動学習とは簡単に言うと、繰り返し練習をしていく中で出来なかった動きが出来るようになったり、正しい動きを覚えていく、というものです。
この運動学習では、そのプロセスを3段階のステージに分けることが知られています。
1.認知段階
この段階ではまず、正しい動きを「頭で理解すること」が求められます。
ボイトレで考えるのであれば、自分のボイスタイプやどこでエラーが起きているかを知り、正しい声の出し方や練習のやり方を覚えていく段階です。
つまり"カラオケで闇雲に歌う"という行為は、この認知段階をそもそもすっ飛ばしているということになります。
何よりまず頭で理解することが求められるのに何も考えずに歌っていては、それは練習というより、"ただの趣味の時間"ということになってしまいます。
2.連合段階
この段階に来ると、頭で正しい動きがある程度理解できているので、その正確性や安定性を高める時期といえます。
もしかするとこの段階では、練習量も大事になってくるかもしれません。
大袈裟な失敗から小さな失敗へと失敗の質が変化していき、それと成功を繰り返すこと、つまりトライ&エラーを繰り返すことで、発声の安定性が高まっていくと言えます。同時に声の発達も進んでいくでしょう。
3.自動化段階
この段階に来れば、ほとんど何も考えなくても自然に歌えるようになります。
他のことにも意識が向けられるようになるので、この段階に来て初めて自分の行いたい表現が出来るようになるといえるかもしれません。
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この自動化段階に到達するまでに、数年の持続が必要と考えられています。
こうやって考えると、歌の上達は人によっては物凄く難しく感じてしまうかもしれません。
しかしだからこそ歌は一生楽しめる趣味になり得るといえますし、試行錯誤しながら上達したという経験が、人生の自信にも繋がってくれると思います!