桜田ヒロキ2025年9月20日 12:49 pm
【女性の加齢と声の変化 ― なぜ声は変わるのか?】
ふとした瞬間に「昔より高い声が出しにくい」「声が疲れやすい」と感じたことはありませんか?
女性の声は、年齢とともに少しずつ変化していきます。実際に、音域が狭くなる・声が低くなる・響きが減るといった変化は多くの方に起こります。
その背景には、女性ホルモン(エストロゲン)の減少があります。エストロゲンは声帯の粘膜をしなやかに保つ役割を果たしていますが、更年期以降に分泌が減ると、声帯の潤いが失われやすくなります。その結果、声がかすれたり、伸びが悪くなったりするのです。
さらに、加齢とともに声帯や周囲の筋力が低下していきます。声帯を閉じる力(声門閉鎖)が弱まると、声に息が混じり、高音が出にくくなることがあります。これらが重なることで「声が老けた」と感じやすくなります。
しかし、これは避けられない“衰え”ではありません。適切なケアやボイストレーニングによって、変化を緩やかにし、むしろ声を若々しく保つことが可能です。例えば、日常的に水分補給を心がけて声帯の乾燥を防ぐ、軽い発声練習で筋肉を刺激する、共鳴の工夫で声に厚みを持たせる、といった方法が役立ちます。
声の変化は年齢のせいだけでなく、使い方次第で大きく変わるということです。年齢を重ねても「自分らしい声」を維持し、さらに魅力的にしていくことは十分に可能です。
小野貴之2025年9月12日 8:55 pm
【セルフ解説】〜子音のコントロール〜
Pale Blue/米津玄師のレッスン動画をインストラクター本人が解説してみたいと思います。
📝無声子音(voiceless consonant)とは、声帯が振動せずに発音される子音のことです。(K,S,T,P,F,H など)
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💡Pale Blueで使う高音A4=440Hzでは、声帯を440回/秒で振動させる必要があり、無声子音で止まる→母音で動かすというStop&Goが窮屈に感じてくる高さです。
💡米津さんのPale BlueをサブスクやYouTubeなどで聴いてみると、1:47あたりの「はりさける」の「さ」、「さけびたい」の「さ」はSとZの中間のようにも聴こえます。
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📝有声子音(voiced consonant)を織り交ぜること、そしてこの動画のレッスンでは触れてませんが、子音をハードヒットせずに、適度にノックしてあげるように歌うと歌いやすくなります。
皆さんもぜひ試してみてください♬
三浦優子2025年9月12日 4:05 pm
【背筋を使うと声が出やすくなる?】
この動画ではボイトレのレッスンなのに、あえてキツめのフィジカルトレーニングをしています。
その理由は「背筋」にあります。
今回フォーカスしているのは、広背筋・最長筋・頭板状筋の3つ。
《広背筋》
骨盤を立て、背骨や肩甲骨の位置を整える役割。
これが働くと呼吸がスムーズになり、声を支えやすくなります。
《最長筋》
仙骨から乳様突起まで伸びている、背骨を支える筋肉。
背骨を安定させ、頭の位置を正しいポジションに導きます。
《頭板状筋》
胸椎から乳様突起にかけてV字に広がる筋肉。
乳様突起は顎二腹筋と関係するため、喉まわりの筋肉の動きを助けます。
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つまり、姿勢が補正され、呼吸がしやすくなり、喉の筋肉の動きもスムーズに。
身体は全身がつながっているので、背筋を活性化させるだけで効率のよい発声につながるのです。
ぜひ試してみてください!
金子 恭平2025年9月12日 9:52 am
【ダンスボーカルで息切れしなくなるには?】
BTS、Da-iCE、BE:FIRSTなど、昨今はダンスボーカルグループの実力がすごいことになっていますよね。
激しく踊っているにもかかわらず安定したその歌唱に、「彼らの肺活量はどうなってるんだ!」と驚かれることもあるのでは。
たしかに、一流のパフォーマーたちは日々長時間の訓練を積んでいるので、心肺機能や有酸素性能力も高いはずです。
しかし彼ら彼女らの歌声がすごいのは、体力が並外れているからではありません。
彼らは息が上がらないのではなく、「息が上がっても歌える」ほど発声能力が高いのです。
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▼うまい歌手は息の量が少なくてすむ
肺から吹き上がった呼気が声帯に圧縮されて、音波に変わります。
まぎれもなく、息は歌声を生み出す原材料です。
ですが、多くの人が想像するよりも、歌に必要な呼気の量は少ないのです。
発声能力が高い人ほど、息を効率よく声に変換できます。声帯の閉じ加減が絶妙だからです。
優秀な歌手はウィスパーボイス、柔らかい声、ピンと張った声などをバリエーション豊かに使いこなせます。
踊りながら歌う際にもっとも重宝するのは、より息の声への変換率が高い声――つまりピンと張った音色でしょう。
ダンスボーカルの実力者をイメージしたとき、頭に浮かぶのは「鳴りがよくパワフルな歌声」ではないでしょうか。
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▼失敗例
・吹き上がる息に対して声帯をきつく閉じすぎると、地声の張り上げ発声になってしまいます。多くの場合、高音域では音程が低く歌われてしまいます。
・吹き上がる息に対して声帯をゆるく閉じすぎると、息漏れ声になってしまいます。歌唱には必要な音色ですが、踊りながらこの声を出そうとすると、多くの場合音程が高くなってしまいます。
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▼ダンスボーカルならではの発声は存在しない
ぼくのレッスンにも多くのダンスボーカルの生徒さんがいらっしゃいますが、彼ら彼女らに特別なコツを教えることはほとんどありません。
本当に発声がよくなれば、踊りながらでも歌えるようになるからです。
もちろん体力(特に有酸素性能力)は高ければ高いほどいいですし、ダンスの動きは無駄なく洗練されたものになっていることが望ましいです。
「息が上がらないように踊れる」×「息が上がっても歌える」
この組み合わせが、最強のダンスボーカルを生み出すでしょう!
桜田ヒロキ2025年9月9日 12:21 am
【クラシック発声からCCM発声へ ― 歌唱スタイルの違いと橋渡し】
クラシックを学んできた歌手が、ポピュラーやミュージカルなどのCCM(Contemporary Commercial Music)発声を必要とする場面は増えています。
オーディションや舞台、現場の要求に応えるためには、クラシックとCCMの声の使い方の違いを理解することが欠かせません。
【クラシック発声とCCM発声の違い】
クラシック発声は、大きなホールで声を響かせることを目的としており、声帯の閉鎖も強めで、共鳴腔を広く使う特徴があります。対して、ポピュラーやミュージカルの発声は、マイクを通す前提で「言葉の明瞭さ」「リズムとの一体感」「声色の多様さ」が重視されます。
ここでは、声門閉鎖はクラシックよりも軽めになり、共鳴も前方へシフトする傾向があります。
【なぜクラシック歌手は苦労するのか】
クラシック出身の歌手がCCMを歌うと「響きすぎてしまう」「言葉が伝わりにくい」「リズムに乗りにくい」といった課題に直面することがあります。
これは、クラシックで培ったテクニックがそのままではCCMの要求に合わないからです。特に、声門閉鎖の強さや共鳴の位置をコントロールすることが難しく感じられるケースが多いのです。
【橋渡しのポイント】
クラシック発声からCCM発声へ移行する際のポイントは、「閉鎖」と「共鳴」の調整です。
声門閉鎖:クラシックで強すぎる閉鎖を少し緩め、より軽やかで瞬発的な音を作る。
共鳴:深い響きに偏らず、前方で明るい音色を意識する。
リズム感:クラシック的なおおらかな取り方ではなく、各種ジャンルに合わせたグルーヴを理解したフレージングへ。
この調整によって、クラシックの基盤を持ちながらもCCM特有の発声へスムーズに移行することができます。
【まとめ】
クラシック発声とCCM発声は、目的も使われる場面も異なります。クラシックで培ったテクニックを否定する必要はありませんが、そのままではポピュラーやミュージカルには適応しづらいのも事実です。
声門閉鎖と共鳴のコントロールを学び直すことで、クラシック出身の歌手も新しい歌唱スタイルを自分のものにできます。
現場で求められる声に対応するために、「クラシック発声からCCM発声へ」という橋渡しの視点は、今後さらに重要になっていくでしょう。
金子 恭平2025年9月8日 11:38 am
【飲み会の翌日は声が出ない?】
お酒を飲んだ翌日は、声が出しづらい――経験的にそう感じている方が多いと思います。
つい「飲み会=声帯に悪い」と考えてしまいがちですが、不調の原因をしっかり整理したほうがよいでしょう。
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▼アルコールが声帯にもたらす影響
まずはお酒を飲んでいる最中の話です。
このタイミングでは、各人のアルコール耐性にもよりますが、やはり声帯が充血し乾燥します。
声帯は一秒間に何百回もぶつかり合うことで声を作り出します。
腫れて水分を失った声帯同士が激しくぶつかり合うことを考えれば、そのダメージも想像できますね。
お酒を飲んでいるときは、なるべく大声で話さないことが大切です(難しいですよね……)。
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▼翌日の不調は案外「塩分」のせいかも
お酒を飲んだ翌日、嗄声(させい)よりも、声が低く重たいことが気になるケースがあります。
この場合、単に声帯がむくんでいるだけかもしれません。
これはアルコールのせいではなく、過剰摂取した塩分による影響です。
お酒を飲む場では味の濃い料理が多く出てくる傾向にありますが、歌い手は口にするものに気をつけたいところです(ぼくはいつも食べすぎてしまいます)。
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▼リカバリー
どちらの場合でも、声帯を温め柔軟にすることで、健康的な声帯振動を取り戻す必要があります。
これは声帯への血流促進と、むくみを作っている体液の排出を同時におこなうことで実現します。
「ストローエクササイズ」や「リップバブル」など、声道を半分閉じておこなうSOVT(Semi Occluded Vocal Tract)と呼ばれるエクササイズが安全かつ有効です。
高い音から低い音へのポルタメント(スライド)を数分間続けるだけでも、声帯の状態はよくなってきますよ。
起床時からお昼にかけて、何度か繰り返せると尚よいですね!
三浦優子2025年9月6日 3:43 pm
【仙骨を動かすと声が出やすくなる】
声を出すとき、喉ばかりに注目しがちですが、フィジカルの視点で考えると「仙骨」がとても重要なポイントになります。
なぜなら、背骨には「ロベットブラザー」と呼ばれる仕組みがあり、離れた骨どうしが連動しているからです。
例えば…
・頚椎1 ⇄ 仙骨
・頚椎2 ⇄ 腰椎5
・頚椎3 ⇄ 腰椎4
このように、背骨の上と下は“兄弟”のように結びついています。
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そして、頚椎1〜3のまわりには「喉の働き」に関わる神経支配があります。
つまり仙骨や腰椎下部を動かすことで、その影響は首の上部まで波及し、喉の緊張を和らげ、声が出しやすくなるのです。
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例えば風邪をひいたときや喉の調子が悪いとき、つい喉ばかりをケアしようとしてしまいますよね。
でもそんな時こそ、仙骨まわりをゆるめたり、軽く動かしてあげると血流や神経の通りが改善され、喉が温まりやすくなります。
結果として、声の出やすさを後押ししてくれるんです。
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これからの季節、喉のコンディションが乱れやすい時期になります。
「声が出にくいな」と感じたら、喉だけでなくぜひ仙骨にも意識を向けてみてください。
声の詰まりなど驚くほど変わるかもしれませんよ♪
田栗ななえ2025年9月5日 2:34 pm
【鼻声対策の練習法】
歌っている時に「鼻声になってしまうという」という相談は、よく耳にします。
レッスンでは、鼻声をなるべく回避できるようにエクササイズを行います。
その理由としては、
①声のパワーが落ちてしまい、マイクに乗りにくくなる
②音色や言葉がぼやけてしまう
などが挙げられます。
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音色のチョイスの癖として鼻声になっている場合もありますが、
発声の観点からみてみると、
①地声がしっかりしていない(ライトチェスト)為、補助的に鼻に入れることで鼻声になっている。
②地声を押し上げてしまう(プルチェスト)為、叫ぶことを回避するために鼻に逃がしている。
という場合も多いように思います。
→発声起因ならば!発声の原因を取ってあげると、鼻声に頼らなくても大丈夫を見つけやすくなります☺︎
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今回の加藤先生と、スタッフちゃんの鼻声対策レッスンです。
エクササイズでは、「B」の子音を使って鼻に母音が抜けないように対策をしています。
① Baでメロディーラインを歌ってみる
→ B、G、Dなどの強い子音を使うと、軟口蓋へ息が抜けることを防いでくれます。鼻に息が逃げない感覚が掴みやすいです。
※鼻に声が逃げていないかのチェックしたい時は、母音をのばしながら鼻から手を離してあげます。
鼻を塞いでも、離しても、母音の音色が同じでクリアな母音だったら、上手くエクササイズの効果が出ています☺︎
②歌詞をつけて歌ってみる
→Baで歌った時と同じ感覚で、
→「M」、「N」は、一度鼻に声が入る子音なので、鼻を抑えたままだと耳が痛くなることがありまる。注意しましょ☺︎
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◆チェックポイント◆
子音の前に『n』を発音していないかも確認ポイントです。
鼻声になりやすい傾向がある場合、「nBa (んば) 」、「n Ga(んが) 」と、破裂音が来る前に鼻に逃げてしまっている場合があります。
しっかり子音を発音できているかチェックしながら練習してみてください☺︎